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花咲く庭園II 東京公演 ご挨拶 全文

チェンバロ・ピアノ奏者 水野直子です。

 

7/26に開催いたしました『花咲く庭園II』東京公演

ごあいさつの全文を掲載いたします。

(全て転載、引用不可)

 

ごあいさつ

『花咲く庭園 II 〜神と人の物語〜』にようこそお越しくださいました。

本公演は昨年10月、東京にて開催しご好評をいただきました『花咲く庭園』の続編です。共演くださるのは、ソプラノの高橋薫子さんはもちろんのこと、今回はさらにバリトンの立花敏弘さんにもご出演いただきます。日本のオペラ界を牽引するお二人との共演におころが弾んでおります。また楽器も前回同様、久保田チェンバロ工房さんが製作された、ルドゥーテの花の模写が描かれた美麗なチェンバロで演奏させていただきます。

チェンバロの隆盛したバロック時代の音楽は、前時代のキリスト教ありきとした中世から離れて、芸術の中に感情を解放しようという人間中心主義の文化(ルネサンス)の内に芽生えます。そして芽生えるや否や、ヨーロッパの精神世界における大きな流れの一助を担ってきました。その際主役となっていたのは、古代ギリシャ・ローマの神々や羊飼い、英雄やニンフでした。彼らはキリスト教の枠外に位置する異教の存在ですが、それだけにキリスト教の禁欲的な道徳にとらわれない自由さを持っています。こうした人物たちの愛し合う官能の世界、喜怒哀楽の世界は、芸術の格好の主題となり、音楽もそうした詩に曲をつけることになりました。
本公演では数あるギリシャ・ローマ神話のなかから、全知全能の神ゼウス、太陽神アポロンとその息子オルフェオ、愛の神アモル、ニンフのエコーらが登場します。また、人が神々へ祈りを捧げる姿や、愛する人を崇高な神と同一視する描写のほか、神の存在を否定したくなるほどの運命に悲嘆する人間の心理を綴るものもあります。拙稿ながら訳出しております。ご笑覧ください。

最後にフライヤーについて一言申し上げます。フライヤーの画像は、花のブリューゲルと呼ばれるブリューゲル一族の一人、ヤン・ブリューゲル1世(父)とヘンドリック・ファン・バーデンとの共作《果実の冠に囲まれたキュベレと四季》(プラド美術館所蔵)です。キュベレとはプリュギア(現在のトルコ)を中心地としてアナトリア全体にわたって崇拝されていた大地女神です。この女神がギリシャ・ローマの世界において、どのような役割を担っていたのかはコンサート内にてお話しできたらと思います。

夏の夜に音で紡いだ神話の世界をどうぞお楽しみください。      水野直子